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ハンナのワイン知識

亜硫酸:亜硫酸の役割や測定方法、自動滴定器のメリットなど
酸度:滴定酸度の重要性
窒素(ホルモール窒素):窒素測定の重要性
pH:pHの役割や影響、ワインpH電極の特長
酸素:酸素の働き
温度:温度管理の重要性

亜硫酸の役割と重要性

酸化防止剤として知られる亜硫酸(SO2)ですが、近年は無添加ワインなど添加物を使用しないものや限りなく使用量を抑えたワインを目にすることが増えました。添加物を使わない、または限りなく少ないということで興味を持つ消費者も多いはずです。とはいえ、世界で見れば必要不可欠と言えるぐらいほとんどのワインには亜硫酸が添加されています。そして、それが人体に悪影響を与えることはないと言われています。(一部の喘息患者を除く)

そんな亜硫酸、ワイン製造においては、
・バクテリアや野生酵母の増殖を抑える
・酸化を防止しワインの色や風味、香りなどを安定させる
などの役割があり、消費者が美味しく飲むための品質管理として重要とされます。


遊離亜硫酸と総亜硫酸

さて、品質を保つために添加される亜硫酸(SO2)ですが、添加した量すべてが有効に働くわけではありません。
ワインに添加された亜硫酸は糖などと結合するものと結合せずに残るものに分かれます。
糖などと結合したものが結合亜硫酸、結合せずに残ったものが遊離亜硫酸。2つを合わせて総亜硫酸と呼びます。遊離と結合亜硫酸の割合はワインごとに異なりますが、この中で注目すべきは遊離亜硫酸のうち、分子状SO2。バクテリアや野生酵母の増殖を抑え、酸化防止に有効なのは主に分子状SO2です。そして分子状SO2の量はそのワインのpHに依存します。


遊離亜硫酸とpHの関係

亜硫酸の中で有効に働く分子状SO2とpHの関係は深く、ワインのpHが低いほど有効に働く分子状SO2の割合が高くなると言えます。一般的に、0.8ppmの分子状SO2がバクテリアの増殖や酸化防止に必要と言われます。
以下の表は、「0.8ppmの分子状SO2を維持する時の、ワインのpH値と必要な遊離亜硫酸の量」を示しています。
同じワインでもpHが0.1異なるだけで必要な遊離亜硫酸の量は変わります。ワイン製造において亜硫酸をどれだけ添加するかは1つの課題です。それは添加前に存在していた量や結合した量などにもよりますが、ワインのpHを維持・管理することも重要です。


ランキン法とリッパー法

亜硫酸の測定方法は主にランキン法とリッパー法の2つで、ともに滴定での定量分析です。簡単に言えば、サンプルとなるワインに滴定液や指示薬を添加し、反応の終点から亜硫酸の濃度を割り出す方法です。終点は色の変化または電極からの応答で判断します。

ハンナの亜硫酸測定器はリッパー法です。試薬類もすべて自社製で、滴定剤はヨウ素ではなく標準化されたヨウ素酸塩を採用。試料(ワインサンプル)にヨウ化カリウムを添加した時に、試料中のヨウ素酸塩からヨウ素を形成します。ヨウ素酸塩の滴定剤はヨウ素に比べはるかに安定しています。ヨウ素は紫外線や熱による分解を受けやすく時間経過とともに揮発しまが、ヨウ素酸塩は時間経過による変化が少ないのが特長です。


自動滴定器のメリットとは?

自動滴定では滴定剤(滴定液)の供給、終点の決定、そして亜硫酸の量を計算する作業を測定器が自動で行います。そのメリットは大きく2つです。
①より正確な測定
ORP電極を用いて電気化学的に終点を検出することで、主観的な色指示薬より高い精度を発揮。そして、自動滴定システムの心臓部となる精密なドージングポンプ。手動滴定で使うビュレットに比べより正確な量の滴定剤を供給できます。

②手間や時間の節約
手動滴定(ランキン法)でこういった部分でのお悩みなどありませんか?
・ガラス器具やバーナーの取扱いなど管理が大変
・設置スペースを取ってしまう
・測定までの準備、時間がかかる
・視覚的に判断する不安
手動が自動になれば当然ラクになることは増えますが、品質管理に対する安心感を得られることも大きなメリットです。

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酸度測定の重要性

ワイン中の酸の量は色や風味に直接影響を及ぼし、甘さや渋さのバランスを保つ役割があります。酸が多いときりっとシャープに、逆に少なすぎると味気なくなりこのバランスは難しいところです。適切な酸度はワインの安定性、美味しさ、そして食事との相性に影響します。

pHと酸度の関係も重要です。pHは水素イオン活性を測定し、酸度は特定の酸の濃度または緩衝能ですが、この関係は単純ではありません(例:ワインに酸を添加してもpHにさほど影響しないこともあります。それはフェノールや他の酸が存在し緩衝作用が働くためです。)

pH調整を行う場合、一般的には酒石酸が好ましいです。酒石酸は比較的安定し、リンゴ酸やクエン酸よりも強い酸だからです。pHと酸度の関係を知るためにも、ワインの調整の前後でそれぞれを測定することは大切です。


窒素測定の重要性

ホルモール窒素とも呼ばれる酵母資化性窒素(YAN)はワイン中の窒素の濃度を表します。アミノ酸やアンモニアなどの窒素化合物はワイン製造において不可欠です。十分な濃度の窒素は健全な酵母の代謝と発酵に有効です。

一般的にぶどう果汁の窒素濃度は140~500mg/Lです。窒素が少なすぎると発酵が遅くなったり不完全になることがあります。発酵において窒素は重要なため、発酵前に窒素濃度を把握することが望ましいです。

なお、発酵には酸素が必要です。瓶詰めや熟成の間など発酵の後半においては酸素は有害となりますが、前半では酵母の発酵促進に効果的です。


ワインとpH

pHは酸性/アルカリ性の度合いを示し、ワイン製造においては最も重要な分析項目の1つです。pH測定は発酵、熟成、清澄(せいちょう)、安定化、瓶詰めなどの多くの工程に影響を与えます。多くのワインはpH3〜4の間にあり、pH値が高いと腐敗のリスクが高くなります。(pH3.6未満だとバクテリアの増殖や酸化の影響が少なくなります)
ワインのpHはどれぐらい?
白ワイン:発酵前のブドウ果汁だとpH3.3未満、完成品は3.0~3.3。
赤ワイン:発酵前のブドウ果汁だとpH3.4未満、完成品は3.3~3.5。


pHの役割、影響

では、具体的にpHはどうワインに影響するのでしょうか?
微生物安定性:微生物の成長を抑制することで腐敗を防止。
亜硫酸(SO2):腐敗から守るためのSO2の効果を高めます。
マロラクティック発酵:マロラクティックバクテリアのリンゴ酸から乳酸への転換に影響。
タンパク質の安定性:ヘイズ形成とその処理において役割を果たします。
感覚:見た目、香り、味に影響。


pHと酸度の違い

pHと酸度を一言で説明すると以下の通りです。
pH:水素イオン活性を測定し、酸性/アルカリ性の度合いを示します。pH電極を用いて測定。
酸度:ワイン中の酸の濃度を示し、滴定で検出。
pHが低ければ(酸性側)その分酸度が高いと思われるかもしれませんが、単純にそうとは言えません。
例 )ワインに酸を添加し酸度を高めてもpHにさほど影響しないこともあります。それはフェノールや他の酸が存在し緩衝作用が働くためです。

酒石酸などでpH調整を行う場合には、pHと酸度の関係を知るためにもワインの調整の前後でそれらを測定することは大切です。


ハンナのワイン専用pH計の特長とは?

ハンナではワイン測定を目的とした専用のpH計をご用意しており、主に3つの特長があります。
①特殊なpH電極を採用
ワインや発酵前のブドウ果汁は固形分が多く、一般的なセラミック製の液絡部だと詰まりやすくなります。結果、pH電極の消耗・劣化が促進されます。ハンナはPTFEスリーブとともにガラスのすり合わせの多孔性を利用した、独自の詰まり予防システムを採用。スリーブが固形物の流入を防ぐ一方で、ガラスの合わせめから内部液が適切に流出。そのため測定の安定性がアップし、かつ消耗・劣化を最小限に抑えます。

②pH7.01とpH3.00での校正 
一般のpH4.01とpH7.01の校正ではpH4以下の数値が不安定になります。ハンナではワインのpH値に近いpH3.00のポイントでの校正を行うことで、より精度と信頼性の高い測定が行えます。

③自社製のメンテナンス品
pH標準液はもちろん、電極のメンテナンスに使用するワイン専用の電極洗浄液や保存液、内部液などもすべて自社製なので安心。

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ワインと酸素

ワインを良質なものにするために重要な働きをしているのが酵母です。酵母は糖からアルコールや炭酸ガス(二酸化炭素)を作り出します。酸素は酵母の増殖を促進するため、発酵時には良い役割を担います。ワイン中の溶存酸素や添加する酸素量を管理・調整することは、ワインの風味や色など品質管理につながります。
【酸素が足りない場合に起こり得ること】
・酵母の増殖の低迷
・発酵期間の長期化
・残糖量の多量化
・アセトアルデヒドの増加

【酸素が影響するワインの品質】
・酵母の発酵促進
・ワインの良質な色
・香りや味


酸素添加はタイミングが重要

酸素は酵母の増殖を促進するために重要ではありますが、それは発酵時に限ります。酸素は酸化の原因にもなり、瓶詰めおよび熟成の間などにおいては有害となり、製造工程の後半は最小限に抑える必要があります。(瓶詰め前には0.5ppmより少ないことが望ましいとも言われます)
そのため、ワイン製造においては各工程での溶存酸素の測定・管理が大切になります。

温度

酵母は温度が低いと動きが鈍くなり、高温では死滅します。発酵温度については議論がありますが、白ワインは低温(7~15°C)だとフルーティーになると言われます。一方、赤ワインはより高い温度(20~30°C)だとタンニンと色の抽出が良好になります。また、温度管理は瓶詰め前のワインの調整と保管時でも重要です。赤ワインは20°Cで、白ワインは15°Cで調整されます。


ハンナの自動滴定器のメリットとは?

亜硫酸、酸度、窒素などハンナでは自動滴定器をご用意していますが、特長として
コンパクトサイズで省スペース
ドージングポンプによる精度の高さ & 測定スピードの速さ
精密な自動滴定器でありながらコストパフォーマンスの高さ
が挙げられます。さらに
測定器だけでなく滴定液などの消耗品もすべて自社製
ヨーロッパ、アメリカ、南米、オーストラリアなど世界のワインの産地で使用されている安心と信頼感
日本国内でのアフターフォローを含めたサービス体制
という点でもご好評をいただいています。