兵庫県川西市、六甲山地の麓に構える絹延町でいちご農家「なかよしBerry farm」を営まれている中川さんの農場を訪問させていただきました。こちら川西市の市役所などが近くにある中心部で、いわゆる都市型農園を営まれています。中川さんは就農2年目とのことで試行錯誤をしながらの運営とのことですが、立派な苺が実っていました。
来訪したのは3月15日でしたが、季節外れの暑さが日本列島を覆いハウスの中は30度近くに。ここまで急激に温度が上昇すると「植物にもいろんなところに負担がかかる」と中川さん。どうやって成長にブレーキをかけるか、その調整幅に難しさを感じると言います。
※遮光も日が昇っている時間帯にやめてしまうと、返って植物にストレスを与えてしまうそう。
そもそも植物にとって最適な温度を伺ったところ「植物に寄りけりですが25〜28度」。ですが室内温度の調整は人ベースにするそうで、こうしてみると人間と農作物が共存できる絶妙な温度に見えてきます。
ちなみにBerry farmさんは直売所も併設しているのですが、12時前に訪れたこの日はすでに完売。特別に試食させてもらった苺は、糖度が11と甘く、適度な酸味が効いた苺でした。ただ苺も桜同様に積算温度に影響されるため急激な温度上昇は収穫のタイミングを見極めを難しくしてしまうそう。
中川さんは「温度が成長を加速させてしまい、結果的に窒素過多を起こして苺に色むらを起こしています。なので打開策としてEC(肥料濃度)を調整しようと思うのですが、急激に変化させるとストレスを与えて味の劣化に繋がってしまう。pHも含めて長期的に増加減少をハンドリングしていきたいのが本音」と土の状態を冷静に分析されます。
「窒素過多になると微量元素を吸わなくなって味のバランスが崩れてしまう。肥料の散布から温度の調節など数値を見ながら調整することが肝心になります。毎回70点くらいを狙って作っていきますし、出来ること出来ないことが見えています。これだけ気温が上昇すると味の落ちはありますが、ジタバタすることはありません」
「使用する水も、ダムの水ですとECは0.16前後。ただし底の方の水だとpHがアルカリ寄りになるためダウン剤を使用しないといけなくなります。測定器を使用してpHとECをチェックするのは日課です」と考えることは多いそう。
帰りに苺の苗を買っていた営業マンS。ちなみに苺の苗を育てるには温度的にこれからの時期が調度良いそうなので喜んでおりました。
ハンナがある千葉県美浜区は全国的にも稀な硬水の地域。ECは0.5を超えることも珍しくないので非常に羨ましい水だと感じながら聞き入っておりました。中川さま、ありがとうございました!
取材:高橋