牛乳の低温殺菌、高温短時間殺菌(HTST)と超高温殺菌

アプリケーションノート

 牛乳は日常生活に欠かせない飲み物で、世界全体では毎年730トン以上の牛乳が生産されています。しかし無殺菌牛乳はリステリア菌、サルモネラ菌、大腸菌などの病原菌の発生源となる可能性があり、無殺菌牛乳の摂取は腹痛の原因となります。

 生産工程には排泄物との接触、牛の乳房内の感染、牛の皮膚に付着した細菌、設備の清潔さの欠如など、牛乳に病原性生物を持ち込む可能性のある多くの要因が存在します。これらの病原菌は牛乳の中で容易に発生し、生産段階から消費されるまでに増殖する時間があるため消費者に病気を引き起こす可能性が高まります。

 このような理由から現在スーパーマーケットで見かける牛乳のほとんどは低温殺菌工程を経ており、特定の温度で一定時間加熱することで、より衛生的な製品となります。低温殺菌の目的は牛乳に含まれるすべての微生物を除去することではなく、さまざまな病気を引き起こす可能性のある微生物だけを除去し、本来の美味しさを保つことにあります。

 牛乳の低温殺菌は1860年代半ばにビールやワインに用いられた方法から発展しました。1880年代から牛乳はワインと同様の方法で低温殺菌され、適度な温度(60℃)で一定時間加熱されました。


 現在、牛乳の低温殺菌には瞬間殺菌として知られる高温短時間殺菌(HTST)と超高温殺菌(UHT)の2つの方法があります。瞬間殺菌では、牛乳は最低15秒間、71℃に加熱され賞味期限は約2~3週間となります。超高温殺菌は138℃、2秒間の加熱で行われ、賞味期限は2~3ヶ月、冷蔵で滅菌包装に入れた場合は6~9ヶ月となります。いずれの場合も殺菌工程は牛乳が均一に加熱され、低温部分や殺菌時間が短い部分がないように設定されなければなりません。

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