カールフィッシャー水分計を使用した塗料と原料の水分量測定

アプリケーションノート

HI 933
カールフィッシャー容量滴定装置

カールフィッシャー容量滴定装置を用いた塗料の水分量分析について説明いたします。
※本記事はHanna Instruments アメリカ本社による記事を翻訳・編集しています。

世界46か国で展開する水質測定器の専門メーカー
ハンナ インスツルメンツ・ジャパン株式会社

概要

 塗料やペイント材の水分含有量は製品性能を左右するファクターで、揮発性有機化合物(VOC)の含有量を把握するために不可欠です。揮発性有機化合物の中には環境や健康に害を及ぼすものがあり、アメリカ環境保護庁(USEPA)によって規制されています。これらの規制に適合していることを証明するために、各製品の含有量を記録する必要があります。

 USEPAは揮発分中に重量の5%以上の水分を含む塗料と定義される水性塗料の含水率(水の重量分率)は、ASTM D3792ガスクロマトグラフによる含水率標準試験方法、またはASTMD 4017カールフィッシャー法による塗料および原料の水の標準試験方法に従って分析しなければならないと規定されています。

事例

 アメリカのある塗料・表面塗装メーカーでは、ガスクロマトグラフよりも低コストで含水率を測定したいニーズがありました。ハンナ インスツルメンツでは、100ppm~100%の水分含有量を測定するためにHI 933カールフィッシャー容量滴定装置を提案させて頂きました。塗料とコーティング製品の大部分は35%から65%の水分で、これらの推定値の結果、滴定液の強度は5 mg/mLが推奨されました。塗料によってはカールフィッシャー溶媒に溶けないものもあるため、各製品の仕様に応じてさまざまな共溶媒を推奨しました。

 ケトン類を含む塗料については、メタノール以外の代替溶剤も推奨されました。製品数が多いため外部溶解が必要な製品もあれば、直接滴定できる製品もあります。最大100種類のカスタム滴定メソッドを開発し、製品ごとに滴定装置にプログラムできることが評価されました。 またHI 933が最大100の滴定レポートを保存できること、およびレポートをアーカイブ目的でUSBデバイスにダウンロードできることも高く評価されました。装置自体も使いやすく、非常に直感的であると感じられていました。