冠水した道路の水は、ただの雨水?豪雨・冠水後に確認したい水質のポイント

測定器のレンタルとは?

冠水した道路の水は、ただの雨水?豪雨・冠水後に確認したい水質のポイント

2026年8月13日から14日にかけて、千葉県では記録的な大雨が降り、各地で道路の冠水や建物への浸水が発生しました。
被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

国土交通省の発表によると、千葉市では24時間降水量が360mmを超え、8月の平年1か月分の3倍以上となる記録的な大雨となりました。道路が川のようになっている映像を、ニュースやSNSで見た方も多いのではないでしょうか。

参考:国土交通省「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について」

ところで、道路にたまったあの水。大量の雨水だけだと思っていませんか?

実は、冠水した水には道路や側溝の泥、下水、油、農地から流れてきた肥料など、さまざまなものが混ざっている可能性があります。

そして注意したいのは、水が引いたあとです。

見た目は元に戻っていても、井戸水や農業用水、施設で使っている水には影響が残っていることがあります。

今回は水質測定器メーカーの視点から、豪雨・冠水後にどのような水質項目を確認すればよいのか、また測定器で分かること・分からないことを、できるだけ分かりやすくご紹介します。

冠水した水は、なぜ注意が必要なの?

道路を流れる冠水水には、雨水以外にも次のようなものが混ざる可能性があります。

  • 道路や側溝にたまっていた泥、砂、ごみ
  • 下水や浄化槽などから流れ出した汚水
  • 自動車や機械から漏れた油
  • 農地から流れ出した肥料や農薬
  • 工場や倉庫から流出した薬品
  • 動物のふんや微生物

茶色く濁っていれば、誰でも「汚れている」と気づきます。

一方で、水が引いたあとに残った水や、一見透明に見える井戸水、タンク水、河川水は、見た目や臭いだけで安全性を判断することができません。

安全に関するご注意
冠水している道路や増水した川に入るのは非常に危険です。一般の方が水を採取するために近づくことも避けてください。水質を確認する場合も、まずは周囲の安全が確保されてから行うことが大前提です。

豪雨・冠水後に特に確認したい水

井戸水や施設で使う水

豪雨や冠水によって地表の水が井戸へ流れ込むと、泥だけでなく微生物や化学物質などが混入する可能性があります。

厚生労働省と千葉県も、浸水した施設で井戸水を使う場合は、水質検査などで安全性を確認してから使用するよう案内しています。

「透明になったから大丈夫」「臭いがなくなったから使える」とは限りません。井戸水を飲用や食品製造に使用している場合は、専門機関による水質検査を受けてから使用を再開してください。

食品工場や飲食店では、井戸や受水槽だけでなく、配管、ポンプ、ろ過設備などに水が入り込んでいないかも確認が必要です。

農業・水耕栽培で使う水

今回の千葉豪雨では、農作物の冠水やハウス付帯設備、用水ポンプなどにも被害が報告されています。

参考:千葉県「令和8年8月千葉豪雨による農林水産業への被害」

農地や養液タンクに外部から水が流れ込むと、肥料濃度の目安となるEC(導電率)や、作物の養分吸収に影響するpHが変わることがあります。

特に水耕栽培では、養液の見た目だけでは変化が分かりにくいため、再び使用する前にpH・EC・水温を確認しておくことが大切です。

河川・池・養殖設備の水


豪雨後の河川や養殖設備における水質変化のイメージ

大雨によって土砂や有機物が一気に流れ込むと、濁度、EC、pH、溶存酸素(DO)などが変化します。

養殖池や陸上養殖設備では、急激な水質変化が魚やエビなどの生体に影響することもあります。豪雨前の数値が記録されている場合は、大雨後の測定結果と比較してみましょう。

豪雨のあとに確認したい水質項目

現場で水質の変化を確認する場合、次のような項目が使われます。

測定項目 確認できること
pH 水が酸性・アルカリ性のどちらへ変化したか
EC・導電率 水中に溶けているイオン量の変化
濁度 泥や微粒子などによる水の濁り
DO・溶存酸素 水中に溶けている酸素量
ORP・酸化還元電位 水の酸化・還元状態
残留塩素 消毒を行った場合に、水に残っている塩素濃度
水温 水質や生物に影響する基本的な情報

複数の項目を測定することで、「普段の水と比べて何かが変わっている」という異常に気づきやすくなります。

pHやECが正常でも「安全」とは限りません

ここは、水質測定器メーカーとして特にお伝えしたい部分です。

pHやEC、濁度などを測ることで、豪雨前と比べて水質が変化しているかを素早く確認できます。

ただし、これらの測定値だけで、飲み水として安全かどうかを判断することはできません。

例えば、ECが普段と同じでも、大腸菌や農薬、油、特定の化学物質が含まれていない証明にはなりません。pHや濁度が元の数値に戻っていても、必ずしも飲用できるとは限らないのです。

現場用測定器で確認しやすいこと 専門的な検査が必要なこと
pHやECが通常値から変化していないか 大腸菌などの微生物
泥や微粒子による濁り 農薬や特定の化学物質
溶存酸素が低下していないか 油や燃料の成分
消毒後の残留塩素 重金属やPFASなどの特定物質
異常が起きている可能性の早期発見 飲用できるかどうかの最終判断

現場用測定器は、平常時との水質変化を把握し、異常の兆候に気づくためのスクリーニングに役立ちます。

飲用の安全性や、特定物質の有無を確認する場合は、用途に合った検査を専門機関へ依頼してください。

大雨が降る前から「いつもの数値」を残しておく

豪雨のあとに初めて水を測定しても、その数字が高いのか低いのか判断できない場合があります。そこで重要になるのが、平常時の測定データです。

  • いつも同じ場所で測定する
  • できるだけ同じ時間帯に測定する
  • pH、EC、濁度、DO、水温などを記録する
  • 測定器の校正日も記録しておく
  • 雨の前後で数値を比較する

普段の数値が分かっていれば、大雨のあとに「ECが急に上がった」「濁りがなかなか戻らない」「DOが大きく下がった」といった変化に気づきやすくなります。

災害が起きてから測るだけでなく、日頃から記録を残しておくことが水質管理では大切です。

河川・地下水などをまとめて測定するなら

投げ込み式多項目測定器 HI 98594


河川や池などの水質測定に使用できる投げ込み式多項目水質計 HI 98594

河川、池、地下水、農業用水など、屋外で複数の項目をまとめて確認したい場合は、投げ込み式の多項目水質計が便利です。

ハンナ インスツルメンツの「HI 98594」は、1本の電極でpH、ORP、EC、濁度、DO、水温などを同時に測定できます。

測定データを保存できるため、大雨の前後や上流・下流、場所や時間による水質変化の比較にも活用できます。安全が確保された場所から電極を水中へ投入して測定でき、ケーブルの長さも測定場所に合わせて選べます。

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「豪雨後の調査で一時的に使いたい」「購入前に試してみたい」という場合は、レンタルもご用意しています。

測定時の安全について
冠水中の道路、増水した河川、流れの速い水路には絶対に近づかないでください。測定は安全が確保された場所で、施設管理者や専門業者が行ってください。

まとめ:水が引いたあとこそ、数値で確認を

冠水した道路を流れる水は、単なる雨水とは限りません。

見た目が元に戻ったあとも、井戸水、受水槽、工程水、農業用水、河川や養殖設備などには影響が残っている可能性があります。

pH、EC、濁度、DOなどを測定することで、普段の水から変化していないかを確認できます。

ただし、現場用測定器だけで飲用の安全性や、微生物・特定化学物質の有無を判断することはできません。目的に応じて、現場測定と専門機関による検査を使い分けることが大切です。

  • どの項目を測ればよいか分からない
  • 一時的な調査なので、購入とレンタルで迷っている
  • 測定器で確認できる範囲を知りたい

そのような場合は、測定する場所や目的をお聞きしたうえで、用途に合った測定器や測定方法をご案内します。

水質測定についてお困りの際は、ハンナ インスツルメンツ・ジャパンまでお気軽にお問い合わせください。

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