「これからも肥料は安定して手に入るのだろうか?」
「肥料価格は今後どうなるの?」
農業に欠かせない肥料だからこそ、供給や価格の動向は気になるところです。
そんな中、2026年10月に開催されたG7農業大臣会合でも、
肥料に関する課題が話し合われました。
今回は、このニュースをきっかけに、
日本の肥料供給の現状、国が進めている対策、
そして今後についてわかっていることを、
農林水産省の公表情報をもとにわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- G7で肥料について何が話し合われたのか
- 日本の肥料供給にはどのような課題があるのか
- 国の備蓄対策はどこまで進んでいるのか
- 今後の見通しと農業現場でできること
1.G7で肥料の安定供給が議論された!何が起きている?
2026年10月19日、フランス・パリでG7農業大臣会合が開催されました。
G7とは、日本を含む主要7か国のことで、
今回の会合では農業や食料の安定を支えるための取り組みが話し合われました。
その重要なテーマの一つが「肥料」です。
肥料は農作物の生産に欠かせません。
しかし、肥料原料の生産国は限られており、
国際情勢や輸出国の政策などによって、
原料の調達や価格が影響を受けることがあります。
今回の会合では、こうした課題に備えるため、
肥料の安定供給に加えて、土壌の状態を良好に保つことや、
肥料を効率よく使うことなどが議論されました。

日本はどのような取り組みを紹介した?
日本から出席した小寺農林水産副大臣は、
肥料の安定供給に向けて進めている取り組みを紹介しました。
日本が進めている主な対策
-
輸入先を分散する
特定の国だけに頼らず、肥料原料を調達できる先を増やす。 -
肥料原料を備蓄する
海外からの輸入が滞った場合に備え、国内に原料を確保する。 -
国内の資源を活用する
家畜ふん尿や下水汚泥由来の資源などを肥料として活用する。 -
肥料を効率よく使う
土壌や作物に合わせた施肥管理を進める。
つまり、海外から肥料原料を安定して確保するだけでなく、
国内で利用できる資源を増やし、
肥料を適切に使うことも重視されています。
2.日本の肥料は海外頼み?なぜ問題になるのか
日本で使用される化学肥料の原料には、
海外からの輸入に大きく依存しているものがあります。
代表的なのが、尿素、りん酸アンモニウム、
塩化加里(塩化カリウム)です。
これらは、作物の生育に必要な窒素・リン酸・カリウムを
供給する肥料の原料として利用されています。
| 主な肥料原料 | 関係する栄養素 |
|---|---|
| 尿素 | 窒素 |
| りん酸アンモニウム | 窒素・リン酸 |
| 塩化加里(塩化カリウム) | カリウム |
海外から原料を調達していること自体が、
すぐに問題になるわけではありません。
ただし、輸出国で供給に問題が起きたり、
国際的な物流が混乱したりすると、
日本への輸入にも影響が及ぶ可能性があります。
実際に、肥料原料の価格は過去にも国際情勢などの影響を受けて
大きく変動してきました。
こうした経験が、国内で備蓄を進める背景の一つとなっています。
肥料がすぐに不足するということ?
今回のG7会合で肥料の課題が議論されたことは、
日本で近いうちに肥料不足が起きると決まったことを意味しません。
将来の供給に影響する可能性があるため、
今のうちから備えを進めることが重要だという話です。
3.国はどんな対策をしている?肥料原料の備蓄状況
日本では、海外から肥料原料を輸入しにくくなった場合に備えて、
国内で原料を備蓄する取り組みが進められています。
対象となっているのは、
りん酸アンモニウムと塩化加里の2種類です。
国は2027年度までに、それぞれ年間需要量の3か月分に相当する
備蓄体制を整えることを目標としています。
現在、どこまで備蓄が進んでいる?
農林水産省が公表した2026年3月末時点の状況は、
次のとおりです。
| 肥料原料 | 備蓄体制 | 目標 |
|---|---|---|
| りん酸アンモニウム | 2.4か月分 | 3か月分 |
| 塩化加里 | 3か月分 | 3か月分 |
※年間需要量に対する備蓄体制の規模。
農林水産省公表資料(2026年3月末時点)による。
塩化加里は目標の3か月分に到達し、
りん酸アンモニウムについても備蓄体制の整備が進んでいます。
つまり、日本は肥料の供給リスクに対して、
具体的な備えを進めているということです。
「3か月分の備蓄」があれば安心?
ここでいう3か月分は、日本全体の年間需要量を基準とした
肥料原料の備蓄体制を示す数字です。
すべての農家に3か月分の肥料が必ず届くという意味ではなく、
肥料価格が一定に保たれることを保証するものでもありません。
4.これから肥料は安定して手に入る?
ここまでを見ると、
「備蓄が進んでいるなら、今後は安心なのでは?」
と感じるかもしれません。
確かに、国の備蓄対策は進んでいます。
一方で、肥料原料の海外依存が続いていることも事実です。
そのため、今後の肥料供給が必ず安定する、
あるいは肥料価格が下がると断定することはできません。
今後について、わかっていること
-
国の対策は進んでいる
肥料原料の備蓄、輸入先の分散、国内資源の活用などが進められています。 -
海外の動向は引き続き重要
輸入に依存する原料があるため、
国際情勢や原料価格の変化は今後も確認が必要です。 -
将来の価格や供給量は確定していない
今回の公表情報だけで、
今後の肥料価格や不足の発生時期を予測することはできません。
重要なのは、必要以上に不安になることではなく、
国や関係機関が発信する情報を確認しながら、
自分の栽培に必要な肥料を適切に管理していくことです。
5.農業現場でできること|肥料成分を把握した施肥管理
肥料の供給状況は、個々の農家だけで変えられるものではありません。
しかし、日々の施肥管理については、
栽培現場で取り組めることがあります。
その一つが、土壌や養液の状態を確認し、
必要な肥料成分を把握することです。
肥料は多く与えればよいわけではない
作物に必要な肥料の量は、
作物の種類や生育段階、土壌の状態、栽培方法などによって異なります。
そのため、土壌診断や地域の施肥基準などを参考にしながら、
栽培条件に合った施肥量を考えることが大切です。
また、水耕栽培などの養液管理では、
EC(電気伝導率)やpHを確認する方法が広く利用されています。
ただし、ECは養液中のイオンの総合的な状態を示す指標であり、
個々の肥料成分の濃度を直接示すものではありません。
例えば、ECの値だけでは、
硝酸態窒素やカリウムなどの成分が
それぞれどの程度含まれているかまではわかりません。
肥料成分を個別に確認するという方法
養液中の特定の肥料成分を確認したい場合には、
成分ごとに対応した分析方法を利用できます。
ハンナのHI 83325は、
肥料養液の成分分析に対応した多項目吸光光度計です。
専用試薬を使用して、複数の成分を測定できます。
肥料養液用 多項目吸光光度計 HI 83325

肥料養液に含まれる成分を、
項目ごとに確認したい場合に活用できる測定器です。
主な測定項目
- アンモニア態窒素
- 硝酸態窒素
- リン酸塩
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- 硫酸塩
ECだけではわからない個別の成分濃度を
確認したい場面で役立ちます。
※測定用試薬は別売りです。
測定項目ごとに測定範囲や試料の調整方法が異なります。
測定対象は液体であり、土壌をそのまま測定することはできません。
土壌溶液の分析には、別売りのライシメーターなどを用いて
試料を採取する方法があります。
分析結果を待たずに、現場で測定したい方へ
外部の分析機関へ依頼する場合、結果が出るまでに時間がかかることがあります。
HI 83325を活用すれば、必要な肥料成分を現場で測定し、結果を確認できます。
分析結果を早く把握することで、施肥管理の見直しや栽培環境の改善をよりタイムリーに検討できます。
購入前のお試しや、必要な期間だけのご利用にはレンタルもおすすめです。
ただし、成分濃度を測定しただけで、最適な施肥量が自動的に決まるわけではありません。
測定結果は、作物の状態や栽培条件などと合わせて判断するための情報として活用します。
まとめ|肥料の供給状況を知り、できることから備える
2026年10月のG7農業大臣会合では、
肥料の安定供給や効率的な施肥について議論が行われました。
日本でも、輸入先の分散や肥料原料の備蓄など、
供給リスクに備える取り組みが進められています。
一方で、肥料原料の海外依存は続いており、
将来の供給や価格が保証されているわけではありません。
今回のポイント
- 肥料の安定供給は、G7でも議論される重要な課題
- 日本では肥料原料の備蓄など、具体的な対策が進んでいる
- 今後の供給や価格について、現時点で断定はできない
- 農業現場では、土壌や養液の状態を把握した施肥管理が大切
肥料を取り巻く状況を正しく知り、
必要な情報を確認しながら、
日々の施肥管理に役立てていきましょう。
肥料養液の測定についてお困りではありませんか?
測定したい成分や栽培環境に応じた測定器の選び方など、
お気軽にご相談ください。
・農林水産省|農業生産資材の供給
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