上記写真の巨大なポテトチップスを見かけたことはございますか?これを作ったのが、今回取材させていただきました株式会社プロトリーフさまです。
家庭菜園を楽しまれる方にとって、まず購入するのは植木鉢、種、そして土ではないでしょうか。土のメーカーは、作物を育成するために最適な土になるよう日々研究を重ねられています。東京の港区に本社を構える株式会社プロトリーフさんもその一社であり、土へのこだわり、社内からアイデアが生まれるポイントについてお話しを伺いました。
プロトリーフさんの取り組みをご紹介いただけますか?
「園芸、ガーデニング向けの土の開発、販売を行っています。より多くの方にガーデニングの楽しさを知って頂けるよう、最近はカルビーさんやカゴメさんを始めとした食品メーカーとのコラボ商品の開発にも注力しています」
他にも土の包装は一般的にはビニール袋などプラスチックが使用されていますが、プロトリーフさんでは早々に紙化。土の性能劣化を最小限にとどめながら環境にもっとも良いプロダクトの販売を、時代に先駆けて率先されてきました。
「環境への配慮も創業(2000年)以来の理念でして、土にはココヤシを使用しています。ココナッツの殻の内皮にある繊維や粒を集めた園芸培土と呼ばれる土の集合体としています。これは捨てるものを再利用した土で、天然有機質100%の環境にやさしく軽くて作業性の良さを追求して出来上がったものになります」
日本と海外の土で違いはありますか?
「”土”とひとくくりにするには難しくて、例えば鉱物、有機物など原料の種類は様々で混ざり具合も異なります。海外でも日本でも土地によって土の原料の種類とバランスは異なりますから、”日本の土”のスタンダードを定義するのは難しいですね」
私が持つ土の概念をリセットする必要がありました。プロリーフさんが開発・販売されている園芸用の土は、天然の土をそのままマルっと使用されている訳ではありません。
「土といっても畑の土と園芸で使用する土には違いがあります。弊社は園芸に特化して開発しておりまして、現地で採取して袋詰めにしているのではありません。細かい原料レベルのものを集めてブレンドし、培養土という土の形にしています」
原料が枯渇しなければクオリティを担保できそうですかね。
「天然資源の利用については弊社としても課題にしており、ココヤシなどの産廃物を再利用した原料の活用を推進しています。他にはコーヒーのカスをリサイクルして再帰化して土壌に戻し、自然環境への負荷を実質ゼロにする取り組みが重要と考えおります」
「併せて、リサイクル品から作った商品が一定の品質を保てるかどうか、開発、製造、それぞれのステップで測定器を通じて数値で管理しています」
測定を通じて分かったことはありますか?
「輸入したココヤシはECが高く、詳細に分析したところカリウムが特に多く含まれていることが分かりました。土のECが高すぎると発芽率が下がったり、植物の生育が悪くなる要因になります。なのでココヤシを調整してECを下げています」
「ただしその作業は原産国である海外の拠点で行われています。現地で原料を製造する水が淡水か海水かではECが大きく異なることになるため、管理の精度を高めるべく測定器を活用しています。海外の拠点でも同じ測定器を使用することで評価基準を均一化し、クオリティコントロールに努めています」
測定器の進歩によって、うれしい悩みもあるそうです。
「これまではpHとECを別々に測定してきましたが、今はひとつの機械で同時に瞬時に測定ができるので作業工数が大幅に削減されました。精度が担保されているのも有難いです。校正時間も1分と掛からないので、以前に比べて現場の作業から”やることをくれ”という嬉しい悩みも出来ました(笑)」
アイデア商品が目を引くプロトリーフ。秘訣は会社の”土壌”にあり
10年前に比べて時代の変化が激しく、そんな時代を生き抜くには創造力が不可欠に思います。アイデア商品を生む秘訣はありますか?
「当初はポテトバッグや、じゃがりこバケ土の開発で進行していたわけではないんです。カルビーさんとのコラボ企画は、別の案件で進行していものが変化して完成しています」
ちなみに他社との協業は難しくありませんでしたか?
「”やり方の違いを理解すること”に時間は必要でした。成分表記の法律、ブランディング戦略、デザイン1つ1つに意味が込められていますので、その調整作業は避けて通れない部分ではありました。納期や予算、人員数など挙げたらたくさん出てきますね。ただ“自分で育てた植物を食べる”という共通認識があったので難しくは感じなかったですね」
「”鉢に植えかえずに、買ってきた袋でそのまま栽培できないかなぁ”というポロっと出たアイデアを昇華させていくイメージです。そのほか”かる~い鉢底石”も弊社のメジャー製品として牽引してくれています。もともと黒曜石パーライトという名前で売っていた石を、軽くて馴染みやすい物にしてはどうか? と営業マンから発案がありました。軽い石を使用したことで、ネーミングを現行の物に変更したという経緯もあります」
「土の包装を紙にしたのもそうですし、アイデアマンが各所に散らばっているのが弊社の特徴ともいえるかもしれませんね」
プロトリーフさんの特徴は、どの部署からもアイデアが出る、アイデアを出してよい風土、素晴らしい土壌が築かれている印象を受けました。「会社が小さいからじゃないですかね?(笑)」と自社の様子を表現されていましたが、そんな雰囲気があるからこそ、ユニークなプロダクト、サービスが生まれるのではないかという可能性と面白さを直感させてくれる企業様です。