食品工場の排水処理、pH管理が属人化していませんか?

測定器のレンタルとは?

食品工場の排水処理、pH管理が属人化していませんか?測定位置と記録の見直し方

食品工場の排水処理では、製造品目の切り替えや設備洗浄などによって、流入する排水の水質が変化することがあります。

「いつもと同じ運転をしているのに、今日はpHが安定しない」「水質が変化したとき、原因を判断できる担当者が限られている」。こうした状況では、日々の管理方法を見直すことが重要です。

2026年10月には、食品工場向け専門サイト「FOOD TOWN」で、排水処理の属人化やトラブル対応をテーマとしたセミナーが告知されました。排水処理設備の安定稼働に加え、担当者の経験に依存しない管理体制を考えるきっかけとなる話題です。

では、排水処理のpH管理を特定の担当者の経験だけに頼らず、複数の担当者が同じ基準で確認できる状態にするには、どこから見直せばよいのでしょうか。

この記事では、食品工場の排水でpHが変動する理由を整理し、測定位置・測定タイミング・記録方法という3つの視点から、日常点検の見直し方を解説します。

この記事でわかること

・食品工場の排水でpHが変動する主な要因
・流量調整槽、中和槽、放流前で測定する目的の違い
・pH測定と記録を標準化するためのポイント
・ポータブルpH計を使った巡回点検の考え方

食品工場の排水処理で「属人化」が課題になる理由

排水処理設備では、数値の確認だけでなく、設備の運転状況や水質の変化を踏まえた判断が必要になることがあります。

例えば、同じpHの測定値でも、製造ラインの稼働状況、洗浄排水の流入、薬注設備の運転状況によって、確認すべき原因は異なります。

こうした判断が特定の担当者の経験に依存していると、その担当者が不在の際に、水質の変化への気づきや原因の確認に時間がかかる可能性があります。

2026年10月15日に公開されたFOOD TOWNのセミナー告知でも、食品工場の排水処理について、担当者の経験に依存した管理や、管理業務の属人化が課題として取り上げられています。

これは特定の食品工場でpH管理の不備が確認されたという報道ではありませんが、排水処理の管理体制を見直すきっかけとして参考になる話題です。

属人化を防ぐために整理したいこと

・どの場所でpHを測定しているか
・どのタイミングで測定しているか
・通常時の測定値の傾向を把握できているか
・水質が変化した際の確認手順が共有されているか
・測定値と設備の運転状況を記録しているか

食品工場の排水でpHが変動するのはなぜ?

食品工場の排水は、製造する食品や工程によって性状が異なります。

環境省の「産業廃水処理技術移転マニュアル」では、食品の種類や製造工程ごとに異なる廃水の性状が紹介されています。

食品工場の排水管理では、製造工程のほか、使用する洗浄剤や排水の流入状況なども確認することが重要です。

pHの変動を確認する際には、測定器の異常だけでなく、流入する排水そのものが変化していないかを考える必要があります。

製造品目や原料の切り替え

食品工場では、製造する品目や原料の違いによって、排水に含まれる成分が変わる場合があります。

例えば、酸性の原料や発酵由来の成分を含む排水が流入すれば、排水のpHに影響する可能性があります。

ただし、pHの変化は排水の混合割合や緩衝作用などにも左右されるため、特定の原料が流入しただけで一定方向に変化するとは限りません。

洗浄剤・消毒剤を含む排水の流入

製造設備の洗浄では、工程に応じてアルカリ性や酸性の洗浄剤が使用されることがあります。

これらを含む排水が流入することで、流量調整槽などのpHが変化する可能性があります。

また、洗浄剤や消毒剤の種類、濃度、流入量によっては、pH以外の面でも排水処理に影響する場合があります。

そのため、pHの変化を確認する際には、製造工程だけでなく、洗浄工程の実施状況もあわせて確認することが重要です。

排水量や流入タイミングの変化

製造工程や洗浄工程が集中する時間帯には、排水量や水質が変化することがあります。

流量調整槽などで排水を均一化する設備であっても、流入状況や混合状態によって、槽内の測定値に違いが生じる可能性があります。

そのため、pHが変化した場合は、測定時刻とあわせて、どの工程が稼働していたかを確認することが重要です。

pHの測定位置はどこがよい?調整槽・中和槽・放流前の違い

排水処理のpH管理では、どこで測定した値なのかが重要です。

例えば、流量調整槽でのpH測定は流入排水の状態を把握する目的があり、放流前の測定は処理後の排水の状態を確認する目的があります。

食品工場によって排水処理設備の構成は異なりますが、測定位置ごとの目的は、一般的に次のように整理できます。

測定位置によって異なる確認目的

流量調整槽
流入排水の変化や、混合後の水質を把握するための測定。製造工程・洗浄工程の影響を確認する際の参考になります。

中和槽・pH調整槽
酸・アルカリによるpH調整の状態を確認するための測定。薬注設備の運転状況や混合状態とあわせて確認します。

処理後・放流前
最終的な排水のpHを確認するための測定。適用される排水基準や施設の管理基準との関係を確認します。

重要なのは、すべての槽で同じ頻度の測定を行うことではありません。

その測定位置で何を判断したいのかを明確にし、設備の構造や運転条件に応じて測定箇所を決めることが大切です。

同じ槽でも、測定する場所によって値が異なることがある

槽内の混合が十分でない場合や、新たな排水が流入している場合、測定位置によってpHに差が生じる可能性があります。

例えば、流入口付近と槽の中央では、水質の状態が異なることも考えられます。

測定値を継続的に比較する場合は、測定位置や電極を入れる深さなどの条件をそろえることが重要です。

ただし、測定位置を決める際には、槽の構造や作業場所の安全性も考慮する必要があります。無理に槽へ近づいたり、危険な場所から電極を投入したりせず、安全に測定できる方法を選定してください。

排水のpH基準は?放流先によって確認事項が異なる

食品工場の排水管理では、測定値の変化だけでなく、適用される法令や条例に基づく基準を確認する必要があります。

環境省が公表する一般排水基準では、公共用水域への排出について、水素イオン濃度(pH)の許容限度が定められています。

一般排水基準におけるpHの許容限度

・海域以外の公共用水域に排出する場合:pH 5.8以上8.6以下
・海域に排出する場合:pH 5.0以上9.0以下

※水質汚濁防止法に基づく一般排水基準の値です。適用対象となる施設や排出水量などの条件があり、自治体による上乗せ基準が適用される場合もあります。

一般排水基準は、すべての食品工場に一律に適用されるものではありません。対象施設や排出水量など、適用条件を確認する必要があります。

また、公共下水道に排除する場合は、下水道法や自治体の条例などに基づく基準が関係します。

自社の排水がどこへ排出されているか、どの基準が適用されるかを確認したうえで、日常管理の目標値や異常時の対応手順を定めることが重要です。

注意:管理目標値と法令上の基準値は区別しましょう

法令上の基準値の範囲内であっても、設備の運転管理上は早めの確認が必要になる場合があります。社内の管理目標値や対応基準は、設備条件と適用法令を踏まえて設定してください。

pH管理の属人化を防ぐには?測定と記録を標準化する3つのポイント

1.測定位置と測定方法を統一する

担当者によって測定する場所や方法が異なると、測定値の比較が難しくなります。

測定位置、測定時刻、採水方法、電極の取り扱いなどを手順書にまとめることで、測定条件を統一し、結果を比較しやすくなります。

また、pH計の校正や電極の洗浄・保管方法についても、共通の手順を設けることが重要です。

2.測定値だけでなく、運転状況も記録する

pHの数値だけを記録していても、変動の原因を後から確認することは難しい場合があります。

例えば、測定値とあわせて次の情報を記録する方法が考えられます。

pH測定記録に加えたい項目の例

・測定日時、測定担当者
・測定場所、測定位置
・pH、温度
・製造ラインや洗浄工程の稼働状況
・薬注設備の運転状況
・通常と異なる点、対応内容

記録する項目は多ければよいというものではありません。

水質が変化した際に原因を確認するための情報を整理し、無理なく継続できる方法にすることが大切です。

3.通常時の傾向を共有する

通常と異なる変化を把握するためには、通常時のpHがどのように推移しているかを確認する必要があります。

製造品目や稼働時間帯ごとのpHの傾向を記録しておけば、いつもと異なる変化に気づくための参考になります。

また、測定値が社内の確認基準から外れた際に、誰へ報告し、どの設備を確認するのかを整理しておくことで、特定の担当者だけに頼らない管理につながります。

ポータブルpH計は、排水処理の巡回点検にどう役立つ?

排水処理設備にpHの連続監視装置が設置されている場合でも、別の測定場所を確認したいときや、表示値を現場で比較したいときがあります。

そのような場面では、ポータブルpH計によるスポット測定が役立つ場合があります。

例えば、流量調整槽と中和槽のpHをそれぞれ確認したり、通常と異なる値が出た際に別の場所で測定したりする用途です。

ただし、ポータブル測定器は連続監視装置や自動制御装置の代わりになるものではありません。

日常的な連続監視と巡回点検では役割が異なるため、設備の管理目的に応じて使い分けることが重要です。

排水処理設備の巡回点検に|投げ込み式pH計 HI 98199

ハンナ インスツルメンツのHI 98199は、標準付属のpH電極を使用して、pHと温度を測定できるポータブル型の水質測定器です。

標準セットには4mケーブルのpH電極が付属しており、測定場所に応じたスポット測定や、測定データの保存に対応しています。

また、一定の間隔で測定値を保存するインターバルロギング機能を備え、保存したデータをPCへ転送できます。

排水処理設備において、複数の測定ポイントを確認したい場合や、測定結果を記録・比較したい場合の選択肢として検討できます。

投げ込み式pH・EC・DO計 HI 98199

排水処理設備の巡回点検やスポット測定に。測定データを保存し、PCで確認できるポータブル測定器です。

・標準付属の電極でpH・温度を測定
・pH測定範囲:0.00~14.00
・pH電極ケーブル長:4m
・最大45,000データを保存可能
・インターバルロギングに対応
・保存データをPCへ転送可能


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スポットでの利用や、導入前の使用感確認にはレンタルが人気です。

※HI 98199はポータブル型の測定器です。pHの自動制御や常設のオンライン監視を目的とした製品ではありません。排水の性状、液温、電極材質、測定条件などを確認したうえでご使用ください。また、ECやDOの測定には別売りの専用電極が必要です。

まとめ|pHの測定位置と記録を見直し、担当者に依存しない排水管理へ

食品工場の排水処理では、製造工程や洗浄工程の影響によって、排水のpHが変動する場合があります。

こうした変化に対応するためには、測定値だけを見るのではなく、測定場所やタイミング、設備の運転状況をあわせて確認することが重要です。

また、測定方法や記録の内容を統一することで、担当者が変わっても排水の状態を比較しやすくなります。

「測定条件をそろえて確認できる」「過去の記録から水質の変化を振り返れる」ことが、排水処理の属人化を防ぐための第一歩です。

現在のpH測定方法や記録体制を見直し、現場に合った管理方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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測定場所や排水の性状に応じたpH計の選定、巡回点検での使用方法など、お気軽にご相談ください。


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