CODの排水基準が厳しい理由

排水・環境調査

COD(化学的酸素要求量)とは

COD(化学的酸素要求量)(以下COD)とはChemical Oxygen Demandの略で、海域や湖沼の有機物(汚染物質)による汚れの度合いを示す数値です。CODが高いほど水中に有機物(汚染物質)の量が多いということになり、水中に酸素と反応しやすい物質が多く含まれていることになります。
CODと混同されやすいのがBOD(生物化学的酸素要求量)(以下BOD)です。CODと同様に水中の汚れを表す指標ですが、以下のとおり違いがあります。

COD:湖沼や海域などの汚れの度合いを表し、酸化剤を使用して計測
BOD:河川などの汚れの度合いを表し、微生物が5日間で分化する酸素量を計測

どちらも水中の汚れを表す指標ですが、対象となる場所によって項目が決まります。
CODは主に下記の用途で使用されます。
工場排水や生活排水の水質評価
海域や湖沼などの水環境の汚染状況の判断
水処理施設の運用監視

参考資料:
国土交通省 東北地方整備局 東北沿岸域環境情報センター
ミズサポ

CODが厳しく規制されている理由

なぜ、工場排水などに有機物が多い水質が悪いと評価されるのでしょうか。
以下で原因を2つご紹介します。

①水質汚染による生態系への悪影響
 下の図で分かるようにCODが高い水は、水質汚染の原因となり、環境や生態系に悪影響を及ぼします。
排水中に微生物のエネルギー源となる有機物が多いと、好気性微生物が有機物を分解する際に酸素を大量に消費して、水中の溶存酸素量が低下します。
微生物の大量発生により水面を微生物が覆ってしまい、光合成と酸素の供給ができず水生生物が死滅してしまいます。


②排水処理技術の進化
 近年、排水処理技術が向上し、より低いCODを達成できるようになったことも規制強化の背景にあります。膜処理技術や生物処理技術の発展により、効果的に有機物を除去できるようになったことが、厳しく規制されている要因の1つです。
具体的にどのような処理方法があるのか見ていきましょう。

CODを下げる方法

物理的処理
 ろ過など物理的な方法を活用したCODを低減する方法です。物理処理の中でもRO膜やUF膜、MF膜などを使う膜ろ過は、効率よく排水中のCODを吸着します。物理処理は凝集処理などの薬品処理とよく併用されるCODの低減方法です。
薬品処理のように投入量を気にすることなく、CODを安定して低減できるのがメリットですが、目詰まりや劣化によるメンテナンスが必要なのがデメリットだといえます。
生物的処理
 生物処理は排水中の有機物を微生物によって分解させる方法です。自然環境の中に見られる微生物を活用する処理方法のため、環境負荷が小さいのが特徴です。
温度や空気を管理して微生物が生育しやすい環境を作ることで、効率よくCODを下げることができますが、設備が高額で排水量が少ない現場での運用は難しいといえるでしょう。
化学的処理
 薬品処理は凝集剤を使用して、水中から汚れの原因を取り除く方法です。水中で汚れの原因となっている懸濁物質(SS)や浮遊物質とキレイな水とを分離させることができ、CODも合わせて除去できます。
薬品処理でCODを除去するメリットは、比較的低コストで大規模な処理ができることです。他の排水処理を行う前処理として最適な方法だといえます。

厳しく規制管理されている「水質汚濁防止法」を守るためにはCODを測定する必要があります。

COD測定方法

過マンガン酸法
 JIS K 0102「工場排水試験方法」に定められている、日本で標準的な測定方法です。過マンガン酸カリウムを酸化剤として酸性下で酸化する酸性法で、滴定器や吸光光度計を使用し測定します。
欠点としてクロムイオンなど妨害物質の影響を受けやすく、測定誤差が比較的大きく出てしまいます。すべての有機物を完全に酸化しないため、実際の汚染度よりも低く評価される場合があるということです。

重クロム酸法 (ニクロム酸法)
 より酸化力が強い酸化剤を使用し、有機物の95~100%を酸化することが可能な二クロム酸法があります。過マンガン酸法と比べて数値が高く出る傾向がありますが、測定誤差は抑えられます。分析後の廃液に水銀が出るため、ニクロム酸法の測定器の使用を控える方もいますが、ハンナ・ジャパンでは水銀フリーの試薬をご用意しているのでデメリットを解消できます。

ハンナ・ジャパンにできること

製品紹介

ここまでCODについてみてきて、CODに馴染みの無かった方も多少の理解が深まったと思います。ハンナ・ジャパンではCOD計をはじめ、六価クロムやフッ化物、溶存酸素計などの水質測定器を数多く取り扱っています。排水分野の展示会に出展した際、ご来場のお客様にも大好評だった、現場で活躍中の製品をPick Upしてご紹介いたします!

ポータブルCOD計
COD専用の吸光光度計で、CODをその時/その日に現場で測定できる製品として圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。有機物の95%~100%を酸化させることが出来る二クロム酸法を採用しており水銀フリーの試薬のご用意があります。
※COD測定には試験管ヒーターを使用します。
ポータブルCOD計(HI 97106)の詳細はこちら


COD&多項目吸光光度計
排水分野の測定に特化しており、CODや全窒素・全リン、フッ化物や六価クロムなどの80以上の項目をこの1台で測定できます。
※CODや全窒素、全リンの測定には試験管ヒーターを使用します。
COD&多項目吸光光度計(HI 83399)の詳細はこちら


試験管ヒーター 加熱時間15分!!
上記で紹介したCOD測定器に必要な試験管ヒーターが大幅リニューアルしました。最大25個の試験管を同時に加熱でき、カウントダウンタイマーとプラスチックカバープロテクターが付属しており、最短15分で加熱可能なためCODやその他の測定を効率的に行うことができます。
試験管ヒーター(HI 839800N)の詳細はこちら


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サービス

ハンナ・ジャパンでは、測定器を選ぶ・使う上で安心していただけるよう、常により良いサポートを目指しています。測定器ご利用中の点検・メンテナンスサポートをはじめ、製品選定でのお困りごとなどにも丁寧にスピーディーに対応いたします。

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